地震防災

先日、東京で行われた日本保育協会主催の研修会に参加し、記念講演で群馬大学院の片田教授による「石巻の奇跡」と題するお話を聞いてきました。三陸地方は歴史的にも100年に一度の地震と大津波がくるとずっと言われてきました。教授は8年間石巻の学校に通い「津波てんでんこ」とう先人の言葉とともに自分の力で意志で逃げることを伝え、小中学校の先生達を巻き込み、様々な状況を考えて訓練を積み重ねてきたそうです。

その成果が現れるときが3.11にやってきてしまいます。子ども達は訓練通りの避難場所に逃げましたが、地震がとても大きかったので、もっと高い所に逃げようと、自分たちの意志で避難したそうです。途中、保育園の園児を背負い、老人の手を引き皆で逃げました。予定していた避難所は津波にのみこまれ、そのままそこにいたら皆が犠牲になるところでした。学校にいた子ども達全員が助かり「石巻の奇跡」と報道されましたが、後から5名が犠牲になったことが判明しました。

病気でやすいんでいた子と早退した子5名の命は守ることが出来ず、その子達を思うと「奇跡」という言葉には値しないが、自分たちの意志で遠くまで逃げた多くの子ども達や、帰宅後に遊んでいて足の悪いお友達を助けながら逃げた子、家にいて逃げる必要がないという家族を揺り動かして逃げた子、母親の帰りを待たないで逃げる約束をしていた子、それぞれのすべてのがんばりに「奇跡」という言葉を贈りたいとおっしゃっていました。

命の危険を感じる機会もなく加護の元にいる多くの子ども達が自分の命を守る力をどうにかしてつけていかなければなりません。関東地方にも大きな地震が予想されています。ここ10年が一番危険だとされています。内陸部での地震では死亡の8割が建物の倒壊や家具の転倒による圧死や窒息死で、地震対策の基本は耐震と家具の転倒防止につきるということでした。

園でも毎月の訓練の内容とともに転倒防止搭載確認していきますが、生活の一番長い時間を過ごしている家庭はどうだろう・・という先生の言葉が耳に残っています。保育園で訓練しても、実際に地震が起きた時、家庭で保護者が見本となって身を守る方法を伝えているでしょうか。保育園だけでやる事・・と子どもは思ってしまいます。面倒かもしれませんが、これが将来の子どもの命を守る力になる・・・と思って危機感を持って防災に取り組みましょう。水や食品、日用品の3日分に加え、子ども達のためのものをちょっとプラスして備えておきたいですね。

ちなみに宿泊研修でしたので、夜はちょっとお酒も頂き、他県の園長先生方と交流を深め、逆立ち歩きやブリッジをやっている園の情報もゲットしました。今後情報交換しながらバージョンアップ出来れば・・・と思います。

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